散文小径

小説家です。時代小説を執筆しています。皆さまのご声援に支えられて描いております。よろしくお願いします。

里見氏兵法指南

里見に関与する武芸の者って、いたんでしょうか?
いろいろ調べてみると、まあ、仔細を伺えずとも、いたことにはなっているようです。

そのなかの一人をご紹介します。

木曾庄九郎。
どういう人かはさておき、一応、講談で識られる兵法者のようです。
「源流元祖木曽庄九郎」著者:松月堂魯山 口演 出版社:樋口隆文館 出版時期:明45.2
こういうものが、近代デジタルライブラリーで閲覧できる。
いい世の中になりました。

実際どういう人なのでしょうか。
南房総市が運営している「南房総資源辞典」にある「幕府政策と里見氏の滅亡」の欄には、里見忠義時代の重要家臣(慶長10年(1605)「里見家領国房州村高割附帳」中)のなかに「木曽庄九郎・70石」をいう記名を見ることが出来ます。
武術流祖録には源流(木曽庄九郎)とあるのですが、これを同一人物としてみています。里見氏の禄を離れてから兵法修行の旅に出たものか、修行の果てに里見氏に請われたものか。そのあたりは全く判りません。
講談では里見義弘家臣・木曾庄左衛門の子で、岡本に道場をという幕開きとなっております。さてさて、岡本のどこら辺に、道場があったのでしょうね。講談は、史実性より娯楽性重視なので、そのあたりのリアリティは望めません。
房総で木曾姓。
世間では木曾姓といえば、源平絵巻でいう義仲ゆかりの信州を連想します。
しかし、房総木曾氏は実際にいたんです。御存知でした?
ただし木曾氏のもともとの在居は浅夷郡と呼ばれたところ、白浜あたりとされます。
戦国時代のはじまる前、丁度房総初代・里見義実が安房へ現れる頃、この国は、関東の二大勢力である足利氏・上杉氏の被官が小競り合いをする係争地帯でした。鎌倉公方没落により上杉方の在地豪族が根を張っていたのですが、里見義実は古河公方再起の先鋒として足利方の復権を興したのです。従って、このとき里見勢に倒される勢力は、必然的に上杉方。
木曾氏は上杉方として武力衝突し、白浜を奪われたことになるのです。
降伏した豪族を、一々滅ぼしては国が成り立ちません。木曾氏も里見氏に従い生き存えたものと考えられます。状況的に考えれば、まあ、この後裔が、木曾庄九郎というのが収まりのよいことになります。

しかし、在地で武芸を興しても、一流にはなれません。
かの塚原卜伝然り、諸国を巡って、井の中の蛙でないことを確認しなければならない筈です。世に云う武芸者や兵法者は、おおよそ武者修行をしています。
安房は温暖にして関東の端、海に隔たるこの地で満足するような輩は、たとえ里見氏でも兵法役に用いることはないと思いますよね。そのあたりが、彼の、大いなる謎になるのです。

夢酔が現在取り組んでいる作品中で、同時代に活躍した多くの武芸者も意図的に散りばめています。それはすべて、この木曾庄九郎を少しでも光らせるための、作為です。
房総が生んだ剣客・小野次郎右衛門忠明をはじめ柳生宗矩、宮本武蔵に至るまで、本編に練り込みました。謎ゆえ許される範囲でと、木曾庄九郎の出自も、信州木曾氏からの養子にすり替えました。この狙いは、里見氏同様の改易に泣く甲斐武田氏との協歩をさせるためです。勝頼以降の武田旧臣は、再仕官で道を分かつとも信玄以来の結束を忘れないための絆を保持しているという架空の設定を用い、その綱を用いて木曾庄九郎を劇中自在に動き回れる伏線にしました。
しかし、これは史実的根拠のないことです。
小説書きは、こうして、学者では許されない接着剤で、筋書きにバイパスを通してしまうんです

里見氏にはユニークな家臣がいます。
残念ながら知名度がないという一言で片付いているだけなのです。
そういう郷土の名物男(女も)は、全国にはまだまだ埋もれている気がしてなりません。


                    ◆  ◆  ◆


 私事ですが、ちょっと病中にあり、ストック原稿でこのblogを濁しております。
 遅筆を御容赦ください。
 関係各位にはご迷惑をお掛けしております。


                    ◆  ◆  ◆


戦国武将里見氏のNHK大河ドラマ放映を目指す「里見氏大河ドラマ実行委員会」が組織されています。里見氏終焉の地である鳥取県倉吉市、里見氏発祥の地の群馬県高崎市、そして館山市で、NHK側にドラマ化を働きかける運動を行っております。
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  1. 2012/11/29(木) 13:44:53|
  2. 随筆・あっそう!里見発見伝
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

No title

コメントありがとうございました。
冬も本格的になってきたので、病中のお身体には一層ひびくでしょうから、大切にしてくださいね。
良くなるまで、無理せずに。

早速記事を読ませて頂きました。
物書きの方にとっては、意のままに歴史を作り上げることができるのですね。
考えてみれば、史説のひとつでしかなくても、それが史実であるかのように広まることはいくらでもありますよね。

達者な人の中には、グローバルな考えをもったひともいれば、そうでない人もいます。
わりと本当の実力者とかは縁の下や目立たないところにもいるものですよね。
里見の家臣達についてもそれは言えると思いますし、また逆から考えれば、良い部下が集まる訳には理由があり、上司の人柄や魅力に惹かれてそばにいる可能性もありますよね。
  1. 2012/11/29(木) 23:43:20 |
  2. URL |
  3. すし #-
  4. [ 編集 ]

No title

>すしさん

敗者の歴史が散々なのは、歴史の改竄があるというのが夢酔の考えです。それだけじゃない因果関係も、勿論あることでしょう。
今回は、そんななかでも、識られていない人物をネタにしてみた処です。校正前の原稿でも木曾庄九郎の扱いは大して変更ないので、機会があれば叔父さんから拝借してみてください~♪
  1. 2012/11/30(金) 06:30:24 |
  2. URL |
  3. 夢酔藤山 #Gq//HHxQ
  4. [ 編集 ]

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