散文小径

小説家です。時代小説を執筆しています。皆さまのご声援に支えられて描いております。よろしくお願いします。

大久保長安事件再考

連載中の「秋の幻」。
今週から、大久保長安事件が、作品に影を落として行きます。
このことが、里見氏の命運を大きく左右していくのですが、そのあたりはこの後の展開となります。

しかし、大久保長安事件って、どう受け止めたらいいのでしょうね。
視点を変えるたびに、色々なモノが見えてくるんです。
冤罪……報復……制裁……財源……まあ、どちらにしても、関与連座させられた者たちの多くは、でもグレーでもないな人だっていた筈です。そう考えたら、里見家は、充分すぎる被害者に相当するのだろうな。

大久保長安という存在は、人によっては感じる印象が異なりますよね。
だから、色々と考えさせられる訳です。

里見家を描くうえで強調すべき長安像は、大久保忠隣の懐刀に徹し、黙して語らぬ有能な官吏という人物設定でした。これまでも岡本大八事件で脚光を浴びた程度で、影に徹した存在だったから、里見家にしてみると
「あまり関係のない人」
くらいの存在なのです。
影に徹したくせに、妙に有能すぎて陰に陰に才覚を発揮するようになると、雇用のトップにいる徳川家康自身、こういう男を野放しにしては危険だと考えるようになってくるのです。大久保長安は、世に仇なす大悪党だったのかと問われたとき、はいそのとおりと答えられない不透明性が渦巻きます。大悪党と公言できる側は、単純に長安の政敵でしかないからです。
大久保長安は、魅力のある人物だったと考えられます。
その功績で、現在に至る都市や商工業の基本を設けた場合もあるからです。
もっとも徳川の時代に、その功績の手柄を書き換えられた可能性もあるでしょう。歴史の恐ろしさは、そこにあるのです。近代史もちょっと前までは、戦前から明治までは軍国主義の悪い時代だったと、刷り込まれていませんでしたか?学生時代、戦前のいいところを黙殺して悪いところばかりを強調して教えられた覚えが、夢酔にもあります。これが刷り込みです。だって、正否もわからないんだから、教えられればそれが全てになりますもの。
こういう手法で、大久保長安のいいところは抹殺されたと考えられなくもないのです。

大久保長安は、武士の生まれではありません。
狂言方・大蔵座の出身です。しかもこの大蔵流は、大和猿楽系の狂言を相伝する由緒ある一座。この出自にありながら、長安は武田家に仕える道を選んだのです。このとき蔵前衆となり、地方巧者の技術を得たことで、武辺ではない実力を身につけます。武田家滅亡後に徳川家康が召し抱えた背景は、内政に卓越した者を欲していたからだとされます。武田旧臣を多く再就職させた家康の狙いは、合戦に強い戦さバカだけを望んでいなかったからでした。

夢酔は小山田信茂を題材に、現在準備稿を練っています。もう、2年になっちゃうな。まずいな。これだから筆の遅い奴は困るな。まあ、独り言はさておき、この準備作には、5歳から長安を登場させています。こちらの視点は、武田家隆盛とその後の衰退だから、長安は野心を一片たりとも持っていません。この誠実な長安こそ、地方巧者の顔なのです。

八王子には、大久保長安の会がございます。
こちらの会の御方とは、松姫400年祭のとき以来、メールや文のやりとりをさせて頂いておりますが、この会は純粋に、大久保長安を顕彰しています。

大久保長安事件のことを里見目線で描くのは容易です。
そのテーマで原画展の講演をしてもいいなと考えたくらいです。
でも、人物や事件を、一方向からしか観ることが出来ないのはお寂しいことだと思います。色々な目線で、観て、考えて、作品の主題に応じてこの表情をピックアップするという執筆スタイルは、夢酔の理想です。引き出しは沢山あるほうがいい。不勉強で決めつける作風は、後々で恥ずかしい思いをしてしまうのです。
「こういう風に書いているが、今回はそうさせてもらった」
といえるように、日々是精進したいのが、我がモットーなのです。

火曜日、甲府へ行きましたが、入口が不明瞭で今回も長安ゆかりの尊躰寺に寄れませんでした。
ずっと気になっていた場所です。
気にしてたのに、気がついたら、もう30年近く経ってしまいました。
甲府に行く機会があったら、今度こそ寄ったみたいです。

連載中は、里見の視点を忘れることなく
「なに余計なことしてんだよ」
という存在の長安も意識したいと思います。

話は変わりますが、鴨川市郷土資料館の企画展「新収蔵コレクション~初めてのおひろめ~」が、9月19日まで開催しております。
里見義頼が発給した土地の所有権などを認める「印判状」など、新発見の資料が展示されているそうです。
房日新聞記事で紹介されてます。
夢酔、あした行ってこようと思います。
鴨川で夢酔をみつけても、どうか生温かく見守って頂けたら幸いです














第4回郡内小山田氏の会のご案内

日時  9月10日(土) 午後2時より  
場所  JR代々木駅西口向かいミヤタビル2階 ニルの学校
発表者 小俣 公司 様
テーマ 「小山田信茂公の遠大な計画と武田家再興」
会費  2,000円(出席した回のみ)












戦国武将里見氏のNHK大河ドラマ放映を目指す「里見氏大河ドラマ実行委員会」が組織されています。里見氏終焉の地である鳥取県倉吉市、里見氏発祥の地の群馬県高崎市、そして館山市で、NHK側にドラマ化を働きかける運動を行っております。
「里見氏の物語をNHK大河ドラマで!」
 皆さまの温かいご声援をお願いします。


公式HPはこちら里見氏大河ドラマ化実行委員会

ポスター
 署名用紙はこちらに収納しております。
 活動の趣旨に御賛同いただけましたら、是非、こちらの署名用紙をプリントアウトのうえ、支援の程よろしくお願いします!


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  1. 2016/09/09(金) 20:57:27|
  2. 随筆・あっそう!里見発見伝
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