散文小径

小説家です。時代小説を執筆しています。皆さまのご声援に支えられて描いております。よろしくお願いします。

倉吉紀行

倉吉紀行その6


 平成26年9月7日(日)。
 この日は、午前11時から「倉吉里見時代行列」が執り行われる。旧堀村から、バスで市内へ移動です。
 時代行列は、大岳院からスタートします。DSCF2478.jpg
 さて、曹洞宗萬祥山大岳院。里見忠義主従の墓所で知られます。年に一度、里見忠義を偲んで、このお寺から甲冑行列を行うのだそうです。名のある武将や八犬士の甲冑は立派なものですが、随行する甲冑は手作りのものが含まれます。そう、全国里見一族交流会の山口幸夫幹事長が普及する、手作り甲冑。主材料は段ボール、つまり紙です。当然、軽量だから負荷が少ない。武者の恰好をした経験がある方なら分かりますよね。甲冑って、重いのですよ。立派な大将鎧になればなるほど、重くなる。よく大河ドラマで、立ち回りの所作も怪しい人気アイドルが、軽々しく戦場を走り回る姿をみるたびに、辟易します。あんなに動ける軽さじゃないって。それだけに、こういう紙甲冑、見た目も遜色なく、本当に軽いから、婦女子や子供にも最適です。今回は、山口幹事長指揮のもと、松戸手作り甲冑隊が行列に参陣です。この松戸手作り甲冑隊の皆さまとは、国府台供養で御目見得しております。
     参考までに南総里見手づくり甲冑愛好会
 この時代行列、ここ数年は里見忠義や伏姫の役にタレントが起用されていました。今年は節目の年と云うことで、県も力を入れているのでしょう。里見忠義役は平井伸治鳥取県知事、伏姫は県知事夫人、家臣堀江頼忠には石田耕太郎倉吉市長が扮します。行政カラーが強いことは、こういうイベントのために必要なこと。むしろ強い後押しは、自治体理解の象徴とも感じました。
 行事ということもあり、里見香華会長は終始高いところで挨拶をしたりと、大変そうです。

 献花の儀を終え、中村住職の口上が響く。順次主賓来賓の焼香が続き、八犬士の順番が来る。すっかり役になりきる彼らは、呼ばれる毎に力強く
「応」
と声を挙げ、会場もその気迫に解け合うように、緊張感が漲っていく。
 会場の全員で合掌。
 いよいよ出陣の儀である。八犬士はひとりひとり中村住職より八つの宝玉を与えられる。
「この玉を持って、堀村へ参りなさい」
 八犬士はこれを受け取る。DSCF2484.jpg
 人垣が動き、山門への道が開く。衆人観衆の見守るなか、行列が進む。倉吉の剣道道場の子供たちが先導である。柴犬サチも、この日は「八房」として、行列に加わる。
 
 Youtube「里見忠義公終焉の地で「時代行列」(倉吉市 日本海新聞ニュース)」で、はこの出陣の様子が動画公開されていました。よく観ると、一瞬、夢酔もしっかりと画面に入っています。  
クリック「里見忠義公終焉の地で「時代行列」 倉吉市 日本海新聞ニュース」

 ここまでは手作り感も大きい。しかし、温かみも大きい。これこそ、土地の祭りだ。プロの手で演出すれば、もっと綺麗になるかも知れない。しかし、アマチュアは、素人とはちょっと違う。この演出には温もりがある。これでいい、これがいいのだ。
 かくして、時代行列は、粛々と倉吉の街中へと消えていった。
 交流会のお歴々はここで分散する。
 夢酔も、せっかくなので、取材のために単独で動かせて頂く。考えてみたら、倉吉に来てから、初めての単独行動だ。
「お昼、電話ください。里見会長が携帯番号知っています」
 田中幹事長に云い置き、とりあえず昨日赴いた屋敷方面へと足を向ける。

 倉吉市役所北庁舎のところの手押し信号で県道38号線を渡る。松原旅館を過ぎ、昨日見た里見屋敷の看板のところまできた。その先は、T字路だ。このT字路を左に曲がると、すぐに〈それ〉はある。
 賀茂神社。
 山城国上賀茂神社の祭神を勧請したと伝えられ、貞観9(876)年に記された「三代実録」にも記される古社だそうな。賀茂神社という名称は明治維新後のものらしく、元は「賀茂皇大神宮」。維新後の神道格上げや廃仏毀釈の影響でしょうね、そのときから、ここは郷社となっています。なんと、倉吉の初詣の定番スポットだということで、初詣の参拝も毎年3万5千人以上が訪れるとかで、なんと鳥取県内での初詣人気第3位という話でした。
 夢酔はぼんやりと、石段を眺めながら、ここを里見忠義も訪れたのだろうかと考えた。その当時、ここには「賀茂皇大神宮」が確かに存在していたのです。いや、名称がひょっとしたらとは思いますが、間違いなくあった筈です。よし、登ってみよう。石段16段目の右手に御手水がある。ここで清めてから、更に登ること96段、境内敷地に立つ。蚊が多い。まだ山陰ではデング熱が騒がれていないが、大丈夫かなと、つい不安になる。
 清浄な空間は綺麗に掃き清められていた。
 ここは、尼子晴久ゆかりの社だと、案内板にも記されている。日頃より直接触れることのない、山陰の歴史を実感させられる。

 賀茂神社を下りたら、知識を求めて「倉吉博物館」へと赴く。打吹山の麓だから、むかしの城下屋敷領域の跡地だろう。とにかく、里見の足跡が少しでも知りたかった。例え根拠のない民間伝承でも、本では伝わらないその土地ならではの温もりがある。それを拾いたかった。
 しかし、残念ながら、倉吉博物館はどちらかというと美術館と土器等展示が主流で、たぶん指定管理の対象なのでしょうか、情報を知る者はおりませんでした。それでも一生懸命に対応して下さった職員の方々に、深く感謝します。図書館ならきっと分かるというお話しでしたが、ちょっと図書館は、遠いです。
 倉吉博物館を辞して街中に入ると、丁度、時代行列に遭遇しました。
 その脇を通り抜け、昨日立ち寄った大蓮寺にもう一度立ち寄る。モダンな山門脇に、見落としていた寺の情報が記されていた。
「あっ」
 思わず声が漏れた。
 霊巌譽雄上人の「一枚起請文」が墨蹟として残されているのだ。霊巌上人は里見家と懇意にしていた高僧で、徳川家康も敬ったほどの人物である。館山にも足を運んだことがあるほどの里見贔屓だった彼は、忠義が心配だったのだろう、ここ倉吉にまで見舞っていることが記録で分かる。一枚起請文は、そのときのものに違いない。かといって、素性の知れぬたかが物書きが訪れて、斯様な歴史的貴重な文化財を見せてもらえる筈もなし。ここに、こういうものがある、それを再認識しただけでも上々と、諦めるしかない。
 もっとも、霊巌上人の一枚起請文は数多く存在するらしい記述を、後日、「特定非営利活動法人(NPO) 安房文化遺産フォーラム」のネット記事にて知る。このNPO団体は稲村城を国指定史跡にするまで頑張ったことで、夢酔も敬服している。里見の恩人のようなものだ。その団体の記事がこれであるので、御紹介に留める。→http://bunka-isan.awa.jp/About/item.htm?iid=208

それにしても、まだ、電話がない。
 行列を追いつつ、豊田家住宅を目指す。豊田家は登録有形文化財に登録されている建築物だ。この古い建築物の温かさを生かして、講談なども催されているのである。前々から、気にはなっていた。行ってみて、驚いた。時代行列のゴールは、ここ豊田家住宅だったのだ。
「お疲れ様です」
 今回この行列のために奔走されていた福井功氏に声をかける。福井氏はまちづくりプロデューサーとして全国を駆け巡る多忙な方だ。夢酔はmixiを通じて福井氏とご懇意にさせて頂いた。彼は里見氏大河ドラマ化実行委員会副幹事長として、具体的な働きかけのプランナーとして手腕を発揮されている。この方なくして、この実行委員会は、実のある計画を得ることは難い。とにかくその東奔西走のフットワークと外交能力に多趣味他分野の知識は、とても夢酔の敵うところではない、凄い人である。
「知事の奥さんと撮りましょう」
 福井氏に勧められるまま、図々しくお写真を頂きました。後日、福井氏からデータで写真を頂きましたが、少しお恥ずかしいので、ここでは紹介しません。あしからず。
「なんか、お昼、電話ないんですよね」
「ああ、忘れられているかも知れないですよ」
 福井氏の指摘は、こののち的中するのです。DSCF5299.jpg                         
写真提供:福井功副幹事長

 皆さんがいるだろう食事所を探していたら、市の職員から
「もうお時間ですよ」
と呼び止められた。えっ、もうそんな時間?バスに乗ると、やはり皆さんは夢酔のことを忘れていた由(苦笑)。どうやら、色々と、忙しかったようですから、そちら優先でも当然でしょう。まあ、こういう飯抜きは通常の取材でもよくあることです。

 このあと、バスは旧堀村へと向かいます。







2014年、里見メモリアルイヤー。
盛り上がりの、ご開帳です。





戦国武将里見氏のNHK大河ドラマ放映を目指す「里見氏大河ドラマ実行委員会」が組織されています。里見氏終焉の地である鳥取県倉吉市、里見氏発祥の地の群馬県高崎市、そして館山市で、NHK側にドラマ化を働きかける運動を行っております。
「里見氏の物語をNHK大河ドラマで!」
 皆さまの温かいご声援をお願いします。

ポスター
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  1. 2014/09/26(金) 06:07:12|
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