散文小径

小説家です。時代小説を執筆しています。皆さまのご声援に支えられて描いております。よろしくお願いします。

倉吉紀行

倉吉紀行その4


 タクシー営業所の真向かいに関金へ行くバス停はある。
 暑くて、風もなく、日蔭だけが憩いの、ちょっとした小休止。こういった長閑な時間が、ちょっと気の抜けるひとときだ。タクシーで回った場所は、実に充実したものばかりだが、絶対に万人受けしないのだろうな。
 タクシー会社の数件隣のスーパーで冷たいお茶を3本買い、みんなでホッとする。
 田中事務局長曰く、今日はもう一人参加する会員がいるのだが、丁度同じバスじゃないだろうかと、三人で談笑した。やがてバスが来ると、果たしてその方は乗客のなかにいた。
 伯耆里見会副会長の里見理生氏。里見武利副会長ともども、この旅の初対面の方だ。とても博識なので、こちらの浅学がバレバレで焦る。やはり一族会の方々は、直接な歴史なだけに、広く浅くではなく、ピンポイントに勉強しているから、とても敵わない。
 とまれ三人旅から四人旅。
 ちょっとした路線バスの旅は、おおよそ30分というところだ。
 風景がみるみると自然豊かな姿へと変わっていく。ここはもう都市部ではないなというところで、降車のボタンが光る。関金温泉に到着した。
 中国地方が初めての夢酔、当然、山陰の温泉も初めてです。DSC00010.jpg
 里見忠義は下田中を追われて、この関金を通過して、更に上流の堀村へと居を変えた。神坂や下田中とは一変した環境といってもよい。当たり前のように往来していた人の影が、恐らくは皆無に等しくなったろう。土地の村人を除けば、訪れる者も稀なる山の奥である。現代こそ、舗装された道路にエンジンのついた車を用いて、造作もなく往来が適う。里見忠義の時代は、倉吉中心部からでも、ちょっとした小旅行に等しい、環境の隔たりと距離と時間を要したに違いない。

 この日は、午後から記念講演会がある。
 大岳院の中村住職、そして作家の平岩弓枝先生だ。
 会場の「倉吉市関金都市交流センター」までゆるゆる坂道を登って、ようよう到着する。まだ受付は完全に設置されていないが、はつらつとしたスタッフたちがテキパキと動いていた。DSC_0333.jpg
写真提供:田中直司事務局長
 一族会ではないが、大丈夫か?スタッフの方がすぐに、承知の旨を応対してくれた。とりあえず到着確認を終えたので、我々は会場に隣接する「せきがね湯命館」に赴く。
 クリックせきがね湯命館
 まだ、お昼を食べていないから、食事処の存在は有難い。
 食事を終えて、まだ時間がある。暑くて汗だくだったから、カラスの行水でもしようかと、田中事務局長とふたりでザブーン。温泉施設だけあって、カラスの行水では勿体ない温泉だ。しかし、のんびりし過ぎるのも、いけない。次が控えている。
 会場には、一族会の皆様と一緒に席が用意されていた。恐縮しきりである。

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写真提供:田中直司事務局長

 中村住職のお話は、今日のように、倉吉に里見のことが定着するまでのことなどが上手な語り口調で奏でられた。僧侶の視点から語られる事柄は、学者や書物の情報とはひと味違う。これまでも執筆取材の際に、たいがい資料館や博物館に奔ることが多い。思えば、寺社の取材は少なかったなと、省みる。もっとアンテナを拡げなければ駄目だ。反省。
 平岩先生はもはや有名人だが、実直な語り口調に好感が持てた。
 得てして著名な方は腰の低い方が少ない。我が強く、揺るぎない自信に漲っている。しかし、夢酔は腰を低く努めるよう心がけている。別に大した輩ではないし、価値観は世間が決めるものであり自画自賛するでなし。そういう意味でいえば、キャリアの長い大作家にも関らず、素晴らしいものだと、圧倒された。
 平岩先生は「南総里見八犬伝」を連載されていた際に、毎回読者からお手紙を頂いたそうですが、その内容は
「素晴らしい挿絵」
のことばかりで、いつも文を褒めて貰えず、いよいよ最終回を迎えたときも、最後まで挿絵だったとお話下さいました。それを聞いて、ふと、我がことを思い出した。夢酔が連載した「春の國」、あれも、挿絵評判のお手紙ばかりで、たまに来る文章へのお言葉は
「濡れ場がない小説は駄目だ」
という叱責。ああ、里見の小説は、挿絵が命なのだなぁと、ついつい噛み締めた次第。
 平岩先生のお話は、物書きには一々染み入る。
 素材が勝れば技術能力はカバーできる、いい素材に巡りあうこと、発掘する努力をすること。こういうお話は、一般的には面白い話で終わるところだが、ようは、時代や流行に流されない物を見る目を養えということだ。未熟を、ヒシヒシと実感する。長谷川伸先生についての話は、重くて、聴講者すべてが瞬きすら忘れる程だった。このことは聴講者だけの特権だから、あえてここで内容を書きません。とにかく夢酔は、まだまだヒヨッ子です。

 この講演会、実は全国里見一族交流会の里見香華会長が飛行機の都合で間に合わなかったため、雛壇は里見武利副会長が対応されました。お疲れ様です。

DSCF2440.jpg
 この日は交流会が催され、里見香華会長と山口幹事長が合流。
 このあと山口幹事長から、お誘いを頂いたのですが、どうもバス疲れとやや寝ていない感で、せっかくのお申し出であるのですが、バタンキュー。今宵は、21時頃には記憶も意識もなく、夢もなく、昏々と泥のように落ちました。

 初日、終了。
 今日一日お世話になりました全ての皆さまに、感謝です。



追伸
世間の里見に関する視線は、まだまだ厳しいということも知っておかなければいけない。
たかが2chでも、侮れない。
耳は広く声に傾けておこう。

クリック里見家400年、「南総里見八犬伝」の刊行200年







2014年、里見メモリアルイヤー。
盛り上がりの、ご開帳です。





戦国武将里見氏のNHK大河ドラマ放映を目指す「里見氏大河ドラマ実行委員会」が組織されています。里見氏終焉の地である鳥取県倉吉市、里見氏発祥の地の群馬県高崎市、そして館山市で、NHK側にドラマ化を働きかける運動を行っております。
「里見氏の物語をNHK大河ドラマで!」
 皆さまの温かいご声援をお願いします。

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  1. 2014/09/23(火) 06:45:04|
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