散文小径

小説家です。時代小説を執筆しています。皆さまのご声援に支えられて描いております。よろしくお願いします。

シリーズ・里見家のおんなたち 13

 里見家に生を受けた女。
 里見家に嫁いだ女。
 円満な者も、不遇な者も、女たちの数だけ笑いもあれば涙もあったことでしょう。そんな里見家のおんなたちは、おおよそ、実名の残されていない者が多かったのです。院号または通り名で後世に伝えられる女性の逸話を、ひととき一緒に語りましょう。


 厳密にいえば里見家ではございませんが、その養育過程で里見家の庇護が絶対だった女性がいます。
嶋子、のちに月桂院と号す女性。
 彼女は小弓公方家から里見家に保護された足利頼淳の娘です。頼淳は里見義弘の正室となった青岳尼の弟ですから、長い目で見ると、里見家の遠縁と云い切っても障りはございません。
 嶋子が歴史にその名を表すのは、里見義康の時代。なんと彼女は、豊臣秀吉の側室となったのです。
 嶋子は名門の血筋として、最初に倉ヶ崎城主・塩谷惟久に嫁ぎます。これが初婚となるわけです。塩谷家は下野の名門として源氏に連なる一党、足利家として申し分のない嫁ぎ先の筈でした。
 が。
 小田原征伐後の奥州征伐にあたり、夫・塩谷惟久は秀吉の武威を恐れ、家屋敷はおろか妻さえ置き去りにして出奔したのです。置き去りにされたものの、嶋子の毅然とした態度に惚れたものか、こののち秀吉は彼女を側室としたです。
 嶋子はきっと小弓公方家の救済を秀吉に求めたに違いありません。
 ほどなく、この塩谷家旧領に喜連川家が興ったとされます。

 秀吉の死後、嶋子は東寺にて出家しました。慶長3年(1598)のこととされます。
 翌慶長4年、江戸へ移った嶋子は、市ヶ谷の月桂寺を棲みかとします。おそらく当時は、そういう呼び名ではなかったでしょう。開基を月桂院と記してあるところから、その死後に改称されただろうと想像されます。


 江戸に住んだ嶋子は、徳川家康の娘・振姫の侍女を務めました。彼女は、明暦元年(1655)に死去したそうです。その頃には、里見家の痕跡は跡かたもなかったのです。



 御府内寺社備考による月桂寺の縁起

  相模国鎌倉郡五山円覚寺附属 市ヶ谷不唱小名
  正覚山月桂寺、境内拝領地五千四拾三坪
  御朱印寺領百石。
  開闢起立之儀者寛永九壬申年開祖関叔碩三座源市ヶ谷稲荷屋敷ニ而初当庵を結ひ住居候処
  同十一甲戌年同所御堀御普請之節御用地ニ相成右代地願上候。則於当所二千三百石廿九坪
  寺地拝領被仰付一宇建立仕遠渓山平安寺と号其後雪山代月桂院殿二百石之知行取持相成候。
  前内百石之地所々為佛供養領当寺ニ○○寄附候ニ付月桂院殿より
  大猶院様御代慶安二巳丑年十一月
  御朱印之(中略)
  開祖関叔碩三座原慶安五壬辰年二月七日寂。生国肥前之人鎌倉円覚寺住山天甫和尚之弟子。
  開基月桂院殿龍室宗珠大禅定尼明暦元乙未年六月十七日逝去足利尊氏公末葉喜連川左兵衛
  督雅純之嫡女
  開基通玄院法槁明叔宗哲寛永廿一年甲申年二月廿日卒。
  開山雪山碩林和尚貞享四丁卯年正月朔日寂武州金澤之人三浦氏之子当代。御朱印以戴仕平
  安山月桂院ト相改申候。
  中興開山一睡碩秀和尚享保三戌年十二月廿二日寂武州江戸之人吉澤氏小日向徳雲寺弟子当
  代十刹官寺ニ被仰付。御黒印以戴仕候而月桂寺ト相改山号正覚山ト相改申候。元禄六酉年
  九月十七日再興し施主柳澤出羽守殿亡父刑部殿為○○境内添地所隠寄進候。
  再興檀越永慶寺殿故左少将保山元羪大居士正徳四甲午年十一月二日寂俗称松平美濃守吉保。
                               (御府内寺社備考より抜粋)





 

                   ◆    ◆    ◆



 戦国武将里見氏のNHK大河ドラマ放映を目指す「里見氏大河ドラマ実行委員会」が組織されています。里見氏終焉の地である鳥取県倉吉市、里見氏発祥の地の群馬県高崎市、そして館山市で、NHK側にドラマ化を働きかける運動を行っております。
「2014年に里見氏の物語をNHK大河ドラマで!」
 皆さまの温かいご声援をお願いします。

 署名用紙はこちらに収納しております。
 活動の趣旨に御賛同いただけましたら、是非、こちらの署名用紙をプリントアウトのうえ、支援の程よろしくお願いします!
 宛先は、ポスターのとおりです。

里見氏城跡(稲村城跡・岡本城跡)国史跡指定記念―シンポジウム「関東戦国史のなかの里見氏」と祝賀のつどい―
 いよいよあと半月です。
 案内は、こちら!

http://bunka-isan.awa.jp/News/item/000/710/ul0322203019.pdf#search='里見氏 大河'
     

それから。
本日、房州日日新聞に「里見氏を大河ドラマに」の幟が紹介されました。
安房の方は、チェックしてください。




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  1. 2012/03/31(土) 19:51:37|
  2. 随筆・あっそう!里見発見伝
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